C'mon everybody!! 家紋クッキー
カモンと家紋をかけてます
ローソンに家紋ビスケットというお菓子が売られている。
かわい~。
でもうちの家紋は入ってない。
こういうのは有名どころの武将の家紋しか入っていないものですよね。家紋って全部でなんと9000種類くらいあるらしい。そりゃクッキー1袋に入りきらないわ。
この記事では、あたしら下々の者の家紋もクッキーにしていきます。さあみんな、誇りある家紋をクッキーにしよう!Come on everybody!Let's make cookie!!!
あなたのいいところはたくさんあるのに
なぜ家紋クッキーを作ろうと思ったかというと、話は一か月ほどさかのぼる。小春日和の暖かい日差しが降り注ぐ日に、私の弟の結婚式があった。
時節がら参加者は両家家族のみ。新郎新婦のホスピタリティに心打たれる、大変アットホームな式だった。中でも我々の度肝を抜いたのはウェディングケーキ!
…の上に乗る、家紋クッキー!!!!!
なんと、両家の家紋をかたどったクッキーの登場である。しかもこれ、弟が作ったそうだ。型はなく、自分の手で切り抜いたらしい。
ああ、そういえばこいつ、手先器用だったなぁ。
なんでさっき思い浮かばなかったんだろう。
というのも、実は式の直前、司会の人から突如「新郎のいいところをご家族から教えてください!」と言われて一家全員言葉に詰まってしまったのである。いいところはたくさんあるけど…。急に言われても…。不思議なことに、昔のことを思い出そうとすればするほど、なぜかちっちゃい頃のへんてこエピソードしか浮かんでこない。
私のガラス製のウサギの置物を割ってこっそりアラビックヤマトのりで修復していたこと。手足を全部シャツの中にしまって椅子に座っていたら転んで前歯を折ったこと。食パンの留め具(バッグクロージャー)を耳につけて遊んでいたらピアスと勘違いされて職員室に呼ばれたこと。
いいとこ、いいとこ…。ほんと、たくさんあるんですよ!でもいま急には思い浮かばなくって。司会の方の突撃インタビューをなぁなぁで済ませた後も、なんかいいエピソードあったかなぁと逡巡していたのだ。そうだった~!!!!彼は手先が器用で、クリエイティビティがあって、人を喜ばせるのが上手なのだ。
とっさだったとはいえ、な~んも思い浮かばなかったのは申し訳ない。祝福の気持ち(そしてほんのちょっぴり懺悔の気持ち)を込めて家紋クッキーの型を作ってあげようそうしよう。
カモンをモデリングする
では早速、3Dモデルを作成し3Dプリンタで型を作る。以前、滋賀県ドーナツを作成したときとほぼ手順は同じだ。
anteater8888888888.hatenablog.com
今回は家紋の細かい柄を生地の凹凸で表現しようと思う。つまり輪郭を切り取る型だけでなく、スタンプの要領で生地に模様を入れるパーツも同時に設計する。
スケッチツールで平面に家紋を書く。もしご家庭の家紋が単純なものであれば問題ないが、少々複雑な図案である場合はここで根気が必要だ。
できたスケッチをZ軸方向に押し出す。
うちの実家の家紋、シンプルでかっこいい。3Dプリンタ初心者にもやさしい図案で有難い。
こちらは新婦ちゃん家の家紋。若干の根気が必要な例。
上品なデザインで素敵な家紋だ。
モデルができたところで一気に出力まで行ってみよう。
なんとあっさり成功…!!!
明らかに3Dモデリングスキルが上昇しているという確かな手ごたえを感じつつ、クッキー生地を作り始めた。
カモンを焼く
出来立てほやほやの型で、クッキー生地を抜いてみる。
ドキドキ…
あらぁ!!
とてもきれい!
ただしこれはビギナーズラックだったらしく、その後何度も失敗。模様をつけるためのスタンプ型を押し込みすぎるとスタンプ側に生地が張り付いてしまい、押し込みが足りないと模様がきれいに出ない。何回か試行錯誤をし、キレイなものを作成することができた。
こちらは新婦ちゃん家家紋!
そしてなんとこちらは弟がデザインしてくれた両家フュージョン家紋!両家家紋の要素を抽出して合体させたデザインだ。
お二人と両家の末永い繁栄を願って…。
カモン完成
じゃじゃーん!!!!
クッキー焼けましたよ~!!
なかなかの完成度に興奮した。やや焦げ気味なところもあるが、焼いた後もきれいに模様が出ている!表面がボソボソして見えるのは、型抜きを何回かやり直したせいだろう。スタンプ型を押し込む力加減さえマスターできれば、もっと美しいクッキーが焼けるに違いない。
味は文句なし!わたしはやや焦げ気味な位が好きなのだ。バターの香りがフワッと広がってサクサクと歯ごたえが素晴らしい。
こうやってまじまじと家紋を見ることなんて今までなかったけど、有名どころの家紋じゃなくても、デザインが素敵だ。洗練されているのは、永く永く受け継がれてきたものだからこそなんだろう。
家紋なんて今時、お墓でしか見ない(あとはなんだ…、留袖とか?)。全国に何千とあって、おそらくそのすべてにいわれがあって、デザイン的にも優れているというのに、もったいなさすぎる!!!!ぜひおうちの家紋を確認してクッキーにしてみてほしい。そしてご先祖様のことを想像しながらお茶をする時間も悪くはない…かもしれない。
余談だが
うちのシンプル家紋は"くぎぬき"という柄だ。和釘は西洋の釘に比べて抜きにくく、抜くのには専用の台座が必要だったらしい。この家紋はその台座をモデルにしているという。大工道具が家紋だなんて、なんだかなるべくして工作をしている気がする。ご先祖様、子孫はクラフトマンシップを受け継ぎ、きょうだいそろってクッキーをデザインしたり3Dプリンタをいじったりしていますよ。
(あり)