タケノコとヤングコーンは似ている
ぼーっとしたスパコン
突然だが、私のスーパーコンピューター並みの頭脳がはじき出した計算によると、トウモロコシの芯からメンマができるはずなのだ。
それ普通に計算間違えてますよ、と多くの方は思われるかもしれない。
疑り深い諸兄におかれても本理論に納得していただけるよう、この結論に至ったまでの過程をご説明したい。
ある日のお昼。会社の食堂で、ぼーっとお昼ご飯を食べていた。なんでぼーっとしてたのかも覚えていない。ぼーっとしてたから。
ただ食べることだけに集中して、無心のままお箸で食べ物を口へ運ぶ。ぱく、しゃく、しゃく…おいしいなぁ。なんだろこの歯ざわり、ヤングコーンかな。ヤングコーンの煮物、おいしいなぁ…。
ヤングコーンの煮物??????
ふと視線を小皿に移すと、そこにあったのはタケノコの土佐煮であった。
なーんだ、びっくりした。ヤングコーンの和風の煮物なんて初めて聞いたもんね。勘違いかと思ったら勘違いだったわ。
未知なるものへの驚愕、そして誤解が解けた後の安堵。2つの感情の波の後、1つの考えが私の頭を支配することになる。
タケノコとトウモロコシの相動性について
タケノコとヤングコーン、似てない????
わかりやすく表にしてみた。
さく、しゃく、とした気持ちのいい歯触り。
鼻の奥で感じる甘くさわやかな芳香。
そして実際、噛みしめるとほのかにやさしく甘い。
はい。似てますね。似すぎです。
なぜだろう、こんなに似ているのに全く気付くことなく今まで生きてきてしまった。世界はこの他人の空似に気づいているのだろうか?
一応この記事を書く前に、twitterでアンケートを取ってみた。
【拡散希望】
— ありくい (@arikui_peropero) 2021年11月6日
みんな教えてくれーー!!
タケノコとヤングコーンって食材としてめっちゃ似てない?!?!
答えてくれたうちの4割のひと!!!!!
やっぱり似てるよね~!!!!!
"似てる!"派の人たちと手を取り合ってマイムマイムを夜通し踊りたい。この結果はそれくらいうれしかった。
一方で残りの6割の人たちは、マイムマイムを踊る我々を尻目に"何言ってんの?"と思っている。まだ気づいていないのだ、この世界に隠された真実について。
そんな人たちにも、タケノコとヤングコーンの相動性についてぜひ気づいてほしい。気づいたところで日常は何も変わらないのだけど。
土佐煮とコンソメスープ
両者を同じ味付けで食べ比べてみれば、相同点も相違点も浮き彫りになるはずだ。そこでまずは着想のきっかけになった土佐煮を作ってみることにした。
レシピはこんな感じ。
- タケノコ/ヤングコーンをだし汁、酒、しょうゆで煮る
- 煮えたら鰹節を加え、混ぜる
以上の手順で調味料の分量と煮る時間をそろえて、タケノコとヤングコーンでそれぞれ土佐煮を作ってみた。
できたのが…
いや、これが、似てるんだわ。食レポ下手かって思われるだろうけど、まじで似てる。どちらも鰹節とだしの風味を存分に吸い込んでジューシーでうまい。
家族にも食べてもらった。「味はすごく似てる、でも歯ごたえに差がある気がする」とのこと。確かに言われてみれば、タケノコのほうがふにっとジューシー、ヤングコーンはシャキシャキかみ切れる軽い歯ごたえだ。それから、「タケノコのほうが酸っぱさを感じる」とも。なるほど、言われてみればそうかも。実際に食べ比べると差分がわかりやすいなぁ…。
土佐煮はタケノコの土俵での戦いだったので(戦いだったのか?)、次はヤングコーンのホームで戦わせよう。
で、ヤングコーンがメインで使われてる料理って何??という壁にぶち当たった。ヤングコーン、なじみ深いけど使い道がよくわからない食べ物ランキングで上位に食い込みそうである。
記憶の糸をたどると…なんか…昔…小学校の給食で…スープに入ってたような…???
あってんのかあってないのかわかんない記憶を頼りに作ったのがこちらのコンソメトマトスープ。
これも似ている…。どちらも違和感なくスープの具として機能している。
やはり、スープにして食感の違いが明らかになった気がする。タケノコのほうが噛めば噛むほどスープが染み出てくるのを感じる一方、ヤングコーンはさくさくとしている。だが味はそっくりだ。
改めて食べ比べた結果を表にしてみた。
食べ比べてみて初めて食感に差があることが分かったが、それも実際に食べ比べてみないとわからないくらいの微妙な違いだった。
そして一連の食べ比べで、両者、似すぎ…!ということが再認識された。
つまり、トウモロコシの芯からメンマが作れる
つまり。つまりですよ。
タケノコ ≒ ヤングコーン ⇒ タケ ≒ トウモロコシ
タケはメンマにしたら食べられる ⇒ トウモロコシの芯も食べられる!
めちゃくちゃな3段論法であることは自分でもわかる。でも、試さずにはいられない…!!!
メンマの作り方はググったら出てきた。
- 竹を蒸し煮
- 数週間程度、乳酸発酵させる(腐るのが心配であれば塩漬けでもよい)
- 乾燥させる
- 水で戻して加工し味付けを整える
ざっくりこちらのやり方にのっとっていざもろこしメンマ!
で、包丁で切れるくらいまで柔らかくなったら、ジップロックに入れて、塩で漬ける。
竹が柔らかくなるように、トウモロコシの芯も!きっと!変貌を遂げるはずなのだ!
ちょっと怖くてずっと置いておいたら4か月もたってしまった。
なんか黒っぽくなってるし。怖い。
食べれるかな…どれどれ一口…。
硬っ!!!!!
ダメでした。
残念ながらトウモロコシの芯は4か月の時を経ても硬かった。
歯ごたえは繊維そのもの。木だな。こりゃ。
もしかしてもっと熟成させたら食べられるくらいになるのだろうか。一応このまま文字通り塩漬けにしておこう。
ただこのままだとおさまりがつかないのよね。
わたしはトウモロコシのメンマを食べたいんじゃ。
そうだ!タケノコで作るメンマあるよね?!穂先メンマ!!!あれをヤングコーンで作ってみよう!
塩漬けにしてー、
塩抜きしたら乾燥させてー、
からからに乾かしたところ…
砂浜に落ちていそうな形状になってしまった。サンゴかヒトデの死骸みたいである。
一抹の不安がよぎるが、水で戻して中華風の味付け(ごま油+醤油+鷹の爪)にする。
じゃじゃーん。
途中はどうなることかと思ったが、予想以上においしそうなものになった。
見た目は焼きトウモロコシのミニバージョンって感じだ。それは当たり前か…。
食べてみると、水煮の状態と比べて"しゃっきり"感が薄れ、"ふにゃりぎゅっ"とした食感に変わっていた。かなりメンマっぽい!!!!メンマ風に味付けたのでメンマ味なのは当たり前なのだが、食感が近づくだけでこれだけ印象も近いものになるとは。
家族にも感想を乞うたところ、「本物のメンマと比べると食感がまだ弱いけど、すごくメンマに近い」とのこと。だよねぇ!近いよねぇ!!
ヤングコーンとタケノコは似てるのだ。まだこの相動性に気づいていなかった人たちにこの叫びが届くといいなと思う。
まとめ
- ヤングコーンとタケノコはやっぱりそっくりだ
- トウモロコシの芯はまるで木(食えない)
- ヤングコーンを干すとヒトデの死骸みたいになる
今後、「タケノコ買い忘れた!」って時には積極的にヤングコーンで代替していきたいと思う。「ヤングコーンなら家にちょうどあるのに」ってタイミングがあればだけどね。逆もまた然り。