3Dプリンタでオリジナルのクッキー型を作ろう!~3Dプリンタ導入編~
初心者が3Dプリンタを自宅に導入してみた
自宅に3Dプリンタを導入してから1年以上がたった。3Dプリンタの購入に踏み切った理由はただ一つ,滋賀県ドーナツカッターを作りたかったからだ。
anteater8888888888.hatenablog.com
購入に際しては,家族から「飽きないの」「壊れた時ちゃんとなおせるの」「そもそも3Dモデルの設計できるの」などなど質問攻めにされたが,「飽きない」「頑張る」「勉強する」と無理めの主張を通して丸め込んだ。
1年たった今の私が同じ質問に答えるとするとこうなる。「全く飽きないよ!」「ちょっとした異常なら直したよ!!」「簡単な設計ならだれでもできるよ!」
モノづくり好きなヒト,ガジェット好きなヒト,生活をちょっと便利にする工夫が好きなヒト,自分の頭の中の構想を現実世界に出力したいヒト。そんな人たちみんなに3Dプリンタを激推しするためにこの記事を書きました。
買ったのはQIDI Xmaker
まず,3Dプリンタには大きく分けて2種類ある。光造形型とフィラメント積層型。
光造形型は溶液を光で固まらせながら造形するもの。これはフィギュアなどを作りたい人におすすめ。一方で,ある程度強い素材で普段使いのパーツや道具を作るのならば,フィラメント積層型が用途に合っている。わたしはフィギュアを作ったり精巧な表現がしたかったわけではないので,迷わず積層型から選んだ。
さらに,積層型にも箱状の覆いがついているタイプとステージむき出しのタイプがある。後者のほうが安いが,前者のほうが造形の精度が良い。フィラメントを温めながら造形するから室温が低かったりするとうまく造形できないんだって。電子レンジみたいで場所をとるけど,失敗したくなかったから箱型を選んだ。
結局わたしが購入したのはこちらの3Dプリンタ。
メーカー名はQIDI。QIDIって何て読むのって思うよね。QIDIって読むよ。
まず価格が安め。そして口コミがいい。とにかくカスタマーサポートがいいらしい。サポート受けるほどの事態に陥っていないのでどれだけ手厚いのかはまだわからないけど,エントリーモデルとしてちょうどよさそうだったのでこれにした。実際に,本体と一緒に送られてきた冊子とUSBの中にセットアップの説明が懇切丁寧にされていてありがたかった。明らかに初心者向けに書かれている。さすが口コミ通り新規ユーザにやさしい。
大きさは電子レンジと同等か,ちょっと大きいくらい。こんな感じで部屋の隅の床に直置きしてつかっている。
動作音はルンバと同じくらい。うるさすぎて近所迷惑というほどではないけど,動いていたら寝れないかな,というくらいの音。だからなるべく昼間に造形するようにしているよ。
飽きないのか?
それが飽きないのだ。世の中には3Dモデルのファイルをダウンロードできるサイトがいくつかあって,そこにある作品をプリントするだけで無限に楽しめてしまう。
有名なのがThingiverse - Digital Designs for Physical Objects。
このサイト宇宙である。あんな便利そうなものやこんなかわいいものが今ここで作れてしまうなんて…!見始めたらあっという間に小一時間たってしまうので最近は自重している。歯磨き粉絞り出し器とかゴルフボールホルダーとか,いろいろダウンロードしてプリントして使っているよ。
直せるの?
めちゃめちゃな故障したことはまだないんだけど,一度フィラメントを変えたときに押し込みすぎて,溶けていないフィラメントがノズルの手前で折れてしまい,ノズルが詰まってしまったことがある。
終わった…と思ったものの,あの優しい優しい取り扱い説明書を思い出し読み返した。USB内にノズルの交換方法について説明している動画ファイルを発見し,それを参考に無事ノズル交換をすることができた。以降,不具合は起こっていない。
機械得意ではないんだけど,このトラブルでなんかちょっと自信がついたよ。
3Dモデルの設計できるの?
3Dモデルの設計に使っているのはFusion360というソフト。
こちら,商用利用でなければ基本無料で使うことができるので,CADの勉強にぴったりだ。
最初は簡単な操作もできなくてイライラしながら何か月もかけて設計していたんだけど,今簡単なモデルだったら(クッキー型とか)30分くらいでできる。
次の記事では,初心者におすすめのクッキー型の設計方法を解説するよ。
(つづく)
果物気分にひたれるネックウォーマー
世間はいい果物にやさしい
果物屋さんに行くと、よい果物が売っている。
そこでは果物たちが1つずつ、緩衝材にくるまれて化粧箱の中に鎮座している。
一見過保護にみえる包装は,繊細な甘い宝石たちにとっては確かに必要なのだ。
ふわふわな見た目とは裏腹に,確固たる意志であらゆる衝撃から果物を守らんとする緩衝材のなんと頼もしいことか。
いいなぁ…
果物、うらやましいなぁ…
わたしもあれだけ守られたい。傷つくことを心配されたい。
世間の荒波を渡るためには,わたしのための緩衝材が必要だ。
フルーツキャップというらしい
果物の緩衝材としてぱっと思い浮かぶあの白いあみあみ。あれ、フルーツキャップという名前らしい。
フルーツキャップを人間サイズで作って,よい果物になりきろう。
見本としてフルーツキャップの実物が欲しい。ネット通販で買えそうだが,大体どのサイトでも最小販売単位が100枚からである。欲しい、欲しいが…。100枚はいらない。おとなしくスーパーでフルーツを買ってくることにした。
フルーツキャップの観察
フルーツキャップをよく見てみると、長い筒状構造が真ん中で半分に折られているのがわかる。
この筒は、棒状の"フカフカ"が緩やかならせん状に組み合わされて構成されている。
1層目と2層目でらせんの角度が逆向きになっていて網目を作っている。
横に引き伸ばして網目をよく見てみよう。
網目は筒の両端ではひし形なのに,筒の中央部分では六角形だ。この構造の差のおかげで両端部分は伸びにくく・中央部分は伸びやすくなっており,使用時に半分にたたむとお皿のように果物を包み込めるようだ。
あみあみになっているだけの簡単な構造かと思っていたが,効果的に果物を包み込むための工夫が感じられる。よく考えられているなぁ。
無限リリアン地獄
人間サイズで作ることを考えたときに一番最初に浮かんだのがネックウォーマーのイメージだった。毛糸で編んだら温かそうだ。細長いパーツをたくさん編んであみあみ状に繋げたらよさそう。さて,どうやってパーツを編もうか。
そんな都合よく細長いパーツを簡単に編める道具なんてないよなぁ…
あった!リリアン!!!!!
そうだそうだ,リリアンがあった。
かつて幼女だったことのある人なら触ったことがあるんじゃなかろうか。突起に糸をかけ,すでにかかっている前段の糸を引っ張り上げて奥に送り,隣の突起に糸をかけ,また前の糸を引っ張り上げて奥に送り…と単純作業を続けていくと下からにょろりと編めたひもが出てくる謎の手芸道具である。
幼少期は何の目的もなく狂ったようにひもを量産していたが,なるほど,果物気分にひたるために使うものだったのか。さっそくAmazonで購入した。
使ってみて気づいたが,このリリアン,幼少期に使ったものよりも進化している。
これは早く編めそう!リリアン自体は簡単だし,パーツをつなげて作る構造は単純だし,数週間で簡単にできるんじゃないかな!!!!
…と予想してたが,この見積もりには重大な誤算があった。
そう,人間のモチベーションを勘定に入れていなかったのである。
リリアンは飽きる。
だいたい,単純作業すぎるのだ。単純作業の繰り返しの編み物の中でも群を抜いた単純作業。
糸をかけ,隣の突起に移動し,糸をかけ,隣に移動し,糸をかけ,隣に移動し,糸をかけ,移動し,糸をかけ,移動,糸をかけ,移動,糸,移動,糸,移動,糸,移動,糸,移動,糸,移動,糸,移動…
どんな単純作業でもやり続けると動きが洗練されてくるもので,どんどんどんどん早くなる。
春が来るまでに編み上がりたいもの。リリアンでいっぱいヒモ状のものを編んで最後に合体する!
— ありくい (@arikui_peropero) 2022年3月3日
メデューサのかつらではないよ🐍 pic.twitter.com/ymoJVnVEBc
これだけ編んでも,まだ目標の半分しかないけどね。
あぁ,なんでこんなこと始めちゃったんだろう,もう春になっちゃうよ,などとごちゃごちゃ言いながら2か月以上かけて何とか30本のリリアンを編み切った。
残す合体作業は,謎の集中力を発揮して数時間で終えた。人間のモチベーションは推し量れない…。
人間用フルーツキャップの完成
じゃじゃーん!!!
こだわりポイントは網目のかたち。
で,薄々感づいてはいたのだが…
ちょっとおしゃれっぽく見えるように写真を加工してみたが,それをも打ち消すサイズ感。首に掛けたらダルンダルンになってしまった。前衛的なファッションに見えなくもない。肩から下に伸ばしてみると余裕で胴まで入る。これじゃぁ腹巻じゃないか。
作ってみて知ったが,この網目構造って,想像よりも伸びる!
それは素材に原因があるのかもしれない。
本来のフルーツキャップは素材の特性も考慮して製造されているのだろう。工業製品おそるべし。
何とか手で支えてみたりして,ネックウォーマー風に首に巻きつつお散歩をしてみた。
歩いていると春の生暖かい風が網目の隙間を抜けて首まで届く。このネックウォーマー,防寒目的には向いていないだろうな。
風をビュンビュン通すので頼りないのだが,首周りでの存在感はかなり大きい。正直,守られている感はビンビンに感じる。顔をつつみこんできて前が見にくい。つまりちょっとうっとおしい。
熟して木からはずされ座標の束縛から解放された果物。せっかく自由になったと思いきや,人間のエゴでフルーツキャップをかぶされ厳重に包装され。もしかしたら丁寧にまかれたフルーツキャップをうっとおしく感じているのかもしれないな。なんて,ちょっと果物気分にひたってみる。
にしても大きすぎるので,家の中でこのフルーツキャップにちょうどいいサイズ感のものを探してみた。
ルンバにちょうどでした。
まとめ
- 人間用フルーツキャップの包容力はすごい(うっとおしいくらい)
- 網目の構造は想像よりも3倍くらいよく伸びる
- 単純に見えるフルーツキャップの構造はよく考えて作られている
自分を守ってくれるはずの存在にうっとおしさを感じてしまう己の身勝手さにうんざりしつつ,フルーツキャップはルンバにあげて強く生きていこうと思いました。
3Dプリンタで自作したクッキー型いちらん(随時更新)
*随時更新中
作品No.1:滋賀県ドーナツカッター
詳しくはこちら。
anteater8888888888.hatenablog.com
作品No.2:家紋クッキーカッター
うちの家紋をクッキーにして食べました。
詳しくはこちら。
anteater8888888888.hatenablog.com
作品No.3:"神社"ブレッドクッキーカッター
ジンジャーブレッドならぬ"神社"ブレッドクッキーを作りました。そうです,だじゃれです。
かわいいよね~。
詳しくはこちら。
anteater8888888888.hatenablog.com
作品No.4:頭の悪いひと
一時期twitterのミームとなった「頭の悪い人」。彼をジンジャーブレッドマン風にしました。
「ジンジャーブレッドマンを作ると #頭が悪い人 みたいになってしまう」とのお悩み相談を受けたので解決策としてクッキー型を作った pic.twitter.com/GZqVVDDI6K
— ありくい (@arikui_peropero) 2022年2月23日
作品No.5:バッグクロージャー
バッグクロージャーって,食パンを止めるあれです。クッキーにしました。
また可愛すぎるクッキー型をつくってしまった…! pic.twitter.com/NUZZj2wJs9
— ありくい (@arikui_peropero) 2022年3月3日
作品No.6:労働
労働に嫌気がさしすぎてクッキーにしました。
ポップにしたらもうちょっと好きになれるんじゃないかと思って、労働をクッキーにしました。生きる糧としてやるぜ。 pic.twitter.com/LpUnek3l4A
— ありくい (@arikui_peropero) 2022年3月13日
漢字をクッキーにするとおもしろいと気づいた。
作品No.7:"タコピーの原罪" タコピー
ハッピー力(りょく),つよつよのお話でしたね。
かわいいお顔,ちゃんと抜けたと思ったのに,焼いたらよくわからなくなっちゃった。
タコピーの原罪クッキー作りました
— ありくい (@arikui_peropero) 2022年3月26日
ありがとう ばいばい pic.twitter.com/42sVHPNmg6
神社ーブレッドクッキーなら通年楽しめる
ジンジャーブレッドクッキーをずっと食べていたい
甘いものが好きだ。
冬は温かい紅茶と一緒に頂くクッキーがいい。特にジンジャーブレッドクッキーは,ほのかに香るスパイスが体を芯から温めてくれる気がして,この季節にうってつけのおやつだ。それなのに,クリスマスシーズンを過ぎるとどのスーパーでもてんで見かけなくなってしまう。
ジンジャーブレッドクッキーを,クリスマスとか関係なく楽しみたい。
ジンジャーブレッドマンがそう望んでいようがいまいが,私が彼をクリスマスから解放してあげよう。
そんなこじれた気持ちを冬の間じっくりことことぐつぐつ煮詰め続けたら,鍋の底にはとっておきのだじゃれがこびりついておりました。
そう,それが
神社-ブレッドクッキー。
だじゃれとはいえ真剣に型を作る
別に宗教戦争をおっぱじめようというわけではないので安心してほしい。
クリスマスの伝統にも日本の神道にも,平等にリスペクトを払いつつ双方を合体させるだけだ(韻踏めてる)。
まずは神社の概念を描く。
これをこうして,
こうじゃ!
さっそくジンジャーブレッドクッキーの生地を作って焼いてみた。
びっくりするほどグロテスクな仕上がりになってしまった。病気の神社だ。
お菓子作りが得意な母に焼く前の生地の実物を見せて相談したところ,「バターが多すぎる」とアドバイスをもらった。なるほどね。
母のアドバイスをもとに,バターを少なめにした型抜きのしやすい配合で生地を作り直しリトライしてみた。
焼き上がり
170℃のオーブンで10分ほど焼いたら完成。
戸を開ける前から部屋が香ばしいにおいで満たされる。
そう,クリスマスの香りだ!クリスマスじゃないのに嗅げるクリスマスの香り,最高ではないか。
きゅうきょ鳥居型も作って焼いてみたんだけど焦げてしまった。鳥居の上の部分を反らせると浜崎あゆみのロゴみたいなかたちになるんだなという知見を得た。
改めて神社を見てくれ。
てっぺんには屋根飾り。軒下には鈴。その下には賽銭箱。
イメージ通りに細部まで作れて,でもそれが生地が膨らむことで少し歪んで,なんともいじらしくかわいい神社になった。大満足だ。
デコレーションもしよう
実は,神社・鳥居だけでなく神社ーブレッドマンも一緒に作ってみた。
神社ーブレッドマンって誰かって?それは神主さまに決まっているだろう。
こんな感じで,鳥居もアイシングでデコレーションする。
神社は余計な手を加えないほうがよさそうだったのでそのままで。
全部並べるとありがたい感じが増す。
スパイスがたっぷり入っているから,食べるとおなかがポカポカする。きっと健康にもいいはず。一年中食べないとね!
作りたいと思ったら
3Dデータはこちらから↓↓
自転車のピクトグラムをおもしろがる
自転車のピクトグラムはおもしろい
街中にはピクトグラムがあふれている。
中でも自転車のピクトグラムはおもしろい。
簡略図なのは重々承知している,でも自転車ってこんな形だったけ。この自転車はちゃんと走れるのだろうか?ボディを支える線が足りなさすぎじゃないか?跨ったらぐにゃりと曲がってしまいそうだ。
ピクトグラムは最小限の線と図形で作られているためか,漢字のようにゲシュタルト崩壊が起こりやすいみたいだ。さらに,自転車という多くの人が知っているけど構造を細部までよく覚えていないモノだと特にゲシュ壊(注:ゲシュタルト崩壊)しやすいのではないか。
このピクト,見つめ続けると右を向いてる犬の姿にも見えてきた。おもしろい。
この図のように,車体の一部が隠れていたりするとゲシュ壊が加速する気がする。おもしろい。
地面のピクトはさらにざっくりしている
してんしゃ…と字は消え入りそうでも,ピクトははっきりした線で力強く描かれている。地面に描かれている線は溌溂としていて繊細さがないため,ゲシュ壊の度合いがすごい。なんだこれ。眼科の視力検査でかける黒縁のごついメガネ???
よく見ると後輪とフレームの関係が不思議なことになっている。だまし絵みたいだ。
これは博士キャラのフクロウの正面顔に見える。おもしろい。え?私だけでしょうか。
京都のピクトはママチャリが多い
実は今までのピクトは東京で撮影したもの。マウンテンバイクのような,カゴがないスポーティな形の自転車がアイコンとして使用されていた。
一方で,京都で見つけた自転車ピクトはママチャリが多かった。なぜだろう?
カゴというディテールが描画されている一方,フレームは限界まで簡略化されている。
もうこれ,漢字の「入」じゃないか?と思ったら向きが逆だった。
こちらでは,2つのタイヤが完全に独立しているうえ,ハンドルとフレームとサドルが2本の線だけで表現されている。究極の簡略化だ。それでも手放さないカゴの表現。
これだけシンプルでも自転車に見えるのがすごい。ただ,見つめているうちにふと気を抜くと,異国の文字に見える瞬間がある。おもしろい。
レアピクト
こちらは京都で見つけたマウンテンバイク型。
自転車に気を付けて!という,車の運転手へのメッセージ。
車輪がべた塗表現されているのが珍しい。そしてその車輪の上に棒を浮かべることでエクスクラメーションマークを表現している。かわいい。
これも珍しかった。何が珍しいって,自転車が右向きに書かれているのだ。なぜか左を向いているピクトが多いなか,潮流に逆らって凛と右を向いている。見習いたい。
ゲシュタルト崩壊のお口直しに
これだけ続けざまに自転車ピクトを見ると,いよいよ自転車本来の形を思い出せなくなってくる。頭にもやがかかったようだ。
最後に写実的なピクト(それをピクトと呼ぶのかは置いといて)を見て,答え合わせとしましょう。
はー,おもしろかった。
都営大江戸線はポイっぽい
都営大江戸線、ポイっぽい
電車に乗るとき、ついつい路線図を眺めてしまう。地図ほどの正確さは必要ないけれど、自分が地球上のどこら辺を通って移動しているのかなんとなく把握したいからである。
とある日、とある路線の電車に乗る間際、ホームにあった路線図に目をやった途端、天啓が下りてきた。
この形…!
都営大江戸線、ほぼ"金魚すくいのときに使うやつ(ポイ)"じゃん!!!
都営大江戸線とは
都営大江戸線とは、都営地下鉄の路線の一つである。路線カラーはマゼンダ、路線記号はEだ。
都営大江戸線は、日本の地下鉄でも最も深いところを通っている地下鉄だ。全区間の駅が地下を通っており、運行中地上に出ることはない。そんな特徴から、かつて愛称を募集した時には「ゆめもぐら」なんていうかわいい呼び名が候補に挙がっていたそうだ。
車両はかなり狭くって窮屈な印象。でも全区間を地下に建設するための莫大な建設費削減のため小さく設計されたと聞くと、その健気さに心を打たれてしまう。
見れば見るほど不思議なのは、やはり路線図だ。新宿の都庁前駅からから、ぐるっと6の字を書くように練馬区光が丘駅まで運行している。しっぽの飛び出た環状線…。
調べてみるといろんなパターンの路線図が見つかったが、そのどれもがポイっぽい。
https://www.kotsu.metro.tokyo.jp/subway/line.pdf
輪になっている区間を環状部、新宿から光が丘までの区間を放射部というらしい。
よし、都営大江戸線ポイを作って、放射部を持って環状部で金魚をすくってやるぞ!
大江戸線ポイを設計する
ポイを作るには、枠の部分にのりをつけ、紙を張り付ければよい。
複雑な形の枠をどう作るかだが、ここは3Dプリンタで作製していこう。
まずはgoogle mapの路線図から都営大江戸線が実際に通っている形を調べて画像データを保存する。
そしたらその画像を3D CADソフト上でなぞって、太さと厚みを調整したらもうポイ枠のデータができてしまった。
太さを出すと地図上のディテールが省略されてデフォルメされたようになった。なんかかわいい。
でこれを印刷したらこんな感じである。
横から見るとこんな感じ。
なんか…。3Dプリンタでめちゃくちゃ2Dのモノを作ってしまったな。
今まで作ったものの中で最も簡単なモデルだった。3Dプリンタを購入して設計ソフトを勉強し始めて半年以上たつが、わたしのスキルは向上しているのだろうか…。
ま、いっか!!!!
枠ができたので、次は紙を張り付ける。
どんな紙を使おっかな~、と思っていたらなんと、100均でこんな便利なものを発見した。
枠に挟む形で何度もポイが作れるセットが売っており、その中にはポイ用の紙が何枚も入っていた。ラッキー!!!
驚くべきは、そのサイズ!
えいや!で作ったのにすさまじいフィット感。これは天に感謝するしかないよね。あぁ、都営大江戸線の神様…。ありがとうございます。
乾燥させて、周囲の余分な紙を切り取ったら出来上がり。
何だろう、かわいい。同じ形が何個も並んでいるからだろうか?いや、きっとこのかわいさはフォルムからきているに違いない。築地~汐留当たりの、内側にくいっと窪み込んでいるところとか、横から見たたらこ唇みたいで特に愛らしい。パックマンの亜種みたいだ。路線図にこんなに愛着がわいたのはこれが初めて。
さぁ早速何かをすくいに行こう!
海で何かすくえるか?
すくうぞ!
…いろいろすっ飛ばしすぎじゃないか?と自分でも思う。
海にポイですくえるサイズの魚がいるのか?そもそも手の届く浅瀬にいるのか?よくわからないけど伊豆までとりあえず来てしまった。海に行く予定の前の晩にポイが完成しちゃったんだもん。そりゃ持っていくだろう。
しかもこちらには勝算があるので…。
というのも、聞いてくださいよ、このポイ、
新宿から光が丘区間の、放射線部のうねりのおかげで、意図せず右利き向けのポイに仕上がったのである。普通のポイと比べて、柄をひねらせるだけで結構なスピードですくえそうな気がするのだ。(左利きの人もひっくり返して使えばいいと思うけどさ)
当方右利き、ゆえに魚に対して圧倒的有利!!!!
イメトレと素振りをめっちゃした。
いい感じだ。なかなかのスピードが出る。いざ小魚との対決…!!!!
で、しばらく探したんだけどほんとに魚は見つからなかった。そんな続けざまにうまくいくことってないのだ。でもこのまま海から帰るのもなぁ…。
あ!じゃあさ、そこらへんに落ちている小枝とかすくってみたらいいんじゃないかな!金魚ほど早くは動かないが、まぁまぁ波あるし難易度は低くないぞ。
そこらへんにある松の葉っぱを海に投げ込んですくってみることにした。
やばい!松の葉ごときをすくえない!!!!魚に挑むなんて無理だったかもしれない…。もうポイはひん死だ。
むっずかし!
やっぱり難しいのだ。金魚すくい。(今回は葉っぱ相手だけど)
そういえばわたし、金魚すくいで金魚をすくえたことが一度もない。幼少期、どの金魚を狙おうかと見定めていたら、ポイがいつの間にか水につかって1すくいもすることなく破れてしまったこともある。今でもそれが若干のトラウマになっているほど悔しかった。三つ子の魂百まで、幼少期のどんくささは一生続くのだ。わたしには動く標的は難しすぎたのかもしれない。
ちょっと悔しいから、難易度を下げてやってみたい…。
動かない金魚ならすくえるか?
100均でポイセットを買ったときに、隣にこんな商品があったのだ。
もはやわたしにプライドはない!!!
動こうが動かなかろうが金魚は金魚!すくってやる!
ということでお風呂に金魚を浮かべてリベンジだ。
湯船にゆったり漂う金魚たちを見ていると、これならいけるかも…?という自信の芽がふくふくと広がってきた。
まずはスタンダードな形の、100均で買った方のポイで。
おとなになってから金魚すくいのポイを持つのは初めてだな。幼き日のトラウマ克服なるか…!
やった~!!!すくえた!!
成功してびっくりした!そもそもポイで何かをすくったのが人生で初めてだ!!私にもできるんだ!
本日をポイ記念日といたします。
それでは主役の都営大江戸線ポイでもすくわさせていただきます!
完全に見切った。ゾーンに入ったかといえるかもしれない。今なら金魚がいくらでもすくえる…!
ただ今見返してみると、あんなに素振りとかしてた割りには普通のすくい方しかできなかったな。金魚との戦いのさなか、あまり冷静になれていなかったようだ。
何匹かすくっていたところ、大江戸線ポイのすごいところを発見した。
都庁前のあたりが狭くなっているので、破れてしまった後も金魚がすくえるのだ。
ずるじゃない、小技と呼んでくれ。
まとめ
個人的には、金魚すくいに成功したことが何よりもうれしかった。いつか、生きた金魚との戦いを制したい。もちろんこの大江戸線ポイで!
おまけ
ちなみに、ほんとに生きた金魚をすくおうと思って、大江戸線環状部の内側にある(たぶん)唯一の釣り堀・市ヶ谷フィッシュセンターまで行ってきた。市ヶ谷フィッシュセンターでは金魚を釣り竿で釣って遊べる。釣り上げられて暴れる金魚をとらえるのにはポイじゃ心もとないと思って、金魚用の網も編んだのだ。
なんとなんと、一匹釣りあげることに成功したのだけど、さあ帰ろう網ですくってやるぞと思ったらキープ用の網カゴから逃げられていた。
我ながら、漫画のオチみたいなどんくささ。金魚のほうがいつも一枚上手だ。
タケノコとヤングコーンは似ている
ぼーっとしたスパコン
突然だが、私のスーパーコンピューター並みの頭脳がはじき出した計算によると、トウモロコシの芯からメンマができるはずなのだ。
それ普通に計算間違えてますよ、と多くの方は思われるかもしれない。
疑り深い諸兄におかれても本理論に納得していただけるよう、この結論に至ったまでの過程をご説明したい。
ある日のお昼。会社の食堂で、ぼーっとお昼ご飯を食べていた。なんでぼーっとしてたのかも覚えていない。ぼーっとしてたから。
ただ食べることだけに集中して、無心のままお箸で食べ物を口へ運ぶ。ぱく、しゃく、しゃく…おいしいなぁ。なんだろこの歯ざわり、ヤングコーンかな。ヤングコーンの煮物、おいしいなぁ…。
ヤングコーンの煮物??????
ふと視線を小皿に移すと、そこにあったのはタケノコの土佐煮であった。
なーんだ、びっくりした。ヤングコーンの和風の煮物なんて初めて聞いたもんね。勘違いかと思ったら勘違いだったわ。
未知なるものへの驚愕、そして誤解が解けた後の安堵。2つの感情の波の後、1つの考えが私の頭を支配することになる。
タケノコとトウモロコシの相動性について
タケノコとヤングコーン、似てない????
わかりやすく表にしてみた。
さく、しゃく、とした気持ちのいい歯触り。
鼻の奥で感じる甘くさわやかな芳香。
そして実際、噛みしめるとほのかにやさしく甘い。
はい。似てますね。似すぎです。
なぜだろう、こんなに似ているのに全く気付くことなく今まで生きてきてしまった。世界はこの他人の空似に気づいているのだろうか?
一応この記事を書く前に、twitterでアンケートを取ってみた。
【拡散希望】
— ありくい (@arikui_peropero) 2021年11月6日
みんな教えてくれーー!!
タケノコとヤングコーンって食材としてめっちゃ似てない?!?!
答えてくれたうちの4割のひと!!!!!
やっぱり似てるよね~!!!!!
"似てる!"派の人たちと手を取り合ってマイムマイムを夜通し踊りたい。この結果はそれくらいうれしかった。
一方で残りの6割の人たちは、マイムマイムを踊る我々を尻目に"何言ってんの?"と思っている。まだ気づいていないのだ、この世界に隠された真実について。
そんな人たちにも、タケノコとヤングコーンの相動性についてぜひ気づいてほしい。気づいたところで日常は何も変わらないのだけど。
土佐煮とコンソメスープ
両者を同じ味付けで食べ比べてみれば、相同点も相違点も浮き彫りになるはずだ。そこでまずは着想のきっかけになった土佐煮を作ってみることにした。
レシピはこんな感じ。
- タケノコ/ヤングコーンをだし汁、酒、しょうゆで煮る
- 煮えたら鰹節を加え、混ぜる
以上の手順で調味料の分量と煮る時間をそろえて、タケノコとヤングコーンでそれぞれ土佐煮を作ってみた。
できたのが…
いや、これが、似てるんだわ。食レポ下手かって思われるだろうけど、まじで似てる。どちらも鰹節とだしの風味を存分に吸い込んでジューシーでうまい。
家族にも食べてもらった。「味はすごく似てる、でも歯ごたえに差がある気がする」とのこと。確かに言われてみれば、タケノコのほうがふにっとジューシー、ヤングコーンはシャキシャキかみ切れる軽い歯ごたえだ。それから、「タケノコのほうが酸っぱさを感じる」とも。なるほど、言われてみればそうかも。実際に食べ比べると差分がわかりやすいなぁ…。
土佐煮はタケノコの土俵での戦いだったので(戦いだったのか?)、次はヤングコーンのホームで戦わせよう。
で、ヤングコーンがメインで使われてる料理って何??という壁にぶち当たった。ヤングコーン、なじみ深いけど使い道がよくわからない食べ物ランキングで上位に食い込みそうである。
記憶の糸をたどると…なんか…昔…小学校の給食で…スープに入ってたような…???
あってんのかあってないのかわかんない記憶を頼りに作ったのがこちらのコンソメトマトスープ。
これも似ている…。どちらも違和感なくスープの具として機能している。
やはり、スープにして食感の違いが明らかになった気がする。タケノコのほうが噛めば噛むほどスープが染み出てくるのを感じる一方、ヤングコーンはさくさくとしている。だが味はそっくりだ。
改めて食べ比べた結果を表にしてみた。
食べ比べてみて初めて食感に差があることが分かったが、それも実際に食べ比べてみないとわからないくらいの微妙な違いだった。
そして一連の食べ比べで、両者、似すぎ…!ということが再認識された。
つまり、トウモロコシの芯からメンマが作れる
つまり。つまりですよ。
タケノコ ≒ ヤングコーン ⇒ タケ ≒ トウモロコシ
タケはメンマにしたら食べられる ⇒ トウモロコシの芯も食べられる!
めちゃくちゃな3段論法であることは自分でもわかる。でも、試さずにはいられない…!!!
メンマの作り方はググったら出てきた。
- 竹を蒸し煮
- 数週間程度、乳酸発酵させる(腐るのが心配であれば塩漬けでもよい)
- 乾燥させる
- 水で戻して加工し味付けを整える
ざっくりこちらのやり方にのっとっていざもろこしメンマ!
で、包丁で切れるくらいまで柔らかくなったら、ジップロックに入れて、塩で漬ける。
竹が柔らかくなるように、トウモロコシの芯も!きっと!変貌を遂げるはずなのだ!
ちょっと怖くてずっと置いておいたら4か月もたってしまった。
なんか黒っぽくなってるし。怖い。
食べれるかな…どれどれ一口…。
硬っ!!!!!
ダメでした。
残念ながらトウモロコシの芯は4か月の時を経ても硬かった。
歯ごたえは繊維そのもの。木だな。こりゃ。
もしかしてもっと熟成させたら食べられるくらいになるのだろうか。一応このまま文字通り塩漬けにしておこう。
ただこのままだとおさまりがつかないのよね。
わたしはトウモロコシのメンマを食べたいんじゃ。
そうだ!タケノコで作るメンマあるよね?!穂先メンマ!!!あれをヤングコーンで作ってみよう!
塩漬けにしてー、
塩抜きしたら乾燥させてー、
からからに乾かしたところ…
砂浜に落ちていそうな形状になってしまった。サンゴかヒトデの死骸みたいである。
一抹の不安がよぎるが、水で戻して中華風の味付け(ごま油+醤油+鷹の爪)にする。
じゃじゃーん。
途中はどうなることかと思ったが、予想以上においしそうなものになった。
見た目は焼きトウモロコシのミニバージョンって感じだ。それは当たり前か…。
食べてみると、水煮の状態と比べて"しゃっきり"感が薄れ、"ふにゃりぎゅっ"とした食感に変わっていた。かなりメンマっぽい!!!!メンマ風に味付けたのでメンマ味なのは当たり前なのだが、食感が近づくだけでこれだけ印象も近いものになるとは。
家族にも感想を乞うたところ、「本物のメンマと比べると食感がまだ弱いけど、すごくメンマに近い」とのこと。だよねぇ!近いよねぇ!!
ヤングコーンとタケノコは似てるのだ。まだこの相動性に気づいていなかった人たちにこの叫びが届くといいなと思う。
まとめ
- ヤングコーンとタケノコはやっぱりそっくりだ
- トウモロコシの芯はまるで木(食えない)
- ヤングコーンを干すとヒトデの死骸みたいになる
今後、「タケノコ買い忘れた!」って時には積極的にヤングコーンで代替していきたいと思う。「ヤングコーンなら家にちょうどあるのに」ってタイミングがあればだけどね。逆もまた然り。