都営大江戸線はポイっぽい
都営大江戸線、ポイっぽい
電車に乗るとき、ついつい路線図を眺めてしまう。地図ほどの正確さは必要ないけれど、自分が地球上のどこら辺を通って移動しているのかなんとなく把握したいからである。
とある日、とある路線の電車に乗る間際、ホームにあった路線図に目をやった途端、天啓が下りてきた。
この形…!
都営大江戸線、ほぼ"金魚すくいのときに使うやつ(ポイ)"じゃん!!!
都営大江戸線とは
都営大江戸線とは、都営地下鉄の路線の一つである。路線カラーはマゼンダ、路線記号はEだ。
都営大江戸線は、日本の地下鉄でも最も深いところを通っている地下鉄だ。全区間の駅が地下を通っており、運行中地上に出ることはない。そんな特徴から、かつて愛称を募集した時には「ゆめもぐら」なんていうかわいい呼び名が候補に挙がっていたそうだ。
車両はかなり狭くって窮屈な印象。でも全区間を地下に建設するための莫大な建設費削減のため小さく設計されたと聞くと、その健気さに心を打たれてしまう。
見れば見るほど不思議なのは、やはり路線図だ。新宿の都庁前駅からから、ぐるっと6の字を書くように練馬区光が丘駅まで運行している。しっぽの飛び出た環状線…。
調べてみるといろんなパターンの路線図が見つかったが、そのどれもがポイっぽい。
https://www.kotsu.metro.tokyo.jp/subway/line.pdf
輪になっている区間を環状部、新宿から光が丘までの区間を放射部というらしい。
よし、都営大江戸線ポイを作って、放射部を持って環状部で金魚をすくってやるぞ!
大江戸線ポイを設計する
ポイを作るには、枠の部分にのりをつけ、紙を張り付ければよい。
複雑な形の枠をどう作るかだが、ここは3Dプリンタで作製していこう。
まずはgoogle mapの路線図から都営大江戸線が実際に通っている形を調べて画像データを保存する。
そしたらその画像を3D CADソフト上でなぞって、太さと厚みを調整したらもうポイ枠のデータができてしまった。
太さを出すと地図上のディテールが省略されてデフォルメされたようになった。なんかかわいい。
でこれを印刷したらこんな感じである。
横から見るとこんな感じ。
なんか…。3Dプリンタでめちゃくちゃ2Dのモノを作ってしまったな。
今まで作ったものの中で最も簡単なモデルだった。3Dプリンタを購入して設計ソフトを勉強し始めて半年以上たつが、わたしのスキルは向上しているのだろうか…。
ま、いっか!!!!
枠ができたので、次は紙を張り付ける。
どんな紙を使おっかな~、と思っていたらなんと、100均でこんな便利なものを発見した。
枠に挟む形で何度もポイが作れるセットが売っており、その中にはポイ用の紙が何枚も入っていた。ラッキー!!!
驚くべきは、そのサイズ!
えいや!で作ったのにすさまじいフィット感。これは天に感謝するしかないよね。あぁ、都営大江戸線の神様…。ありがとうございます。
乾燥させて、周囲の余分な紙を切り取ったら出来上がり。
何だろう、かわいい。同じ形が何個も並んでいるからだろうか?いや、きっとこのかわいさはフォルムからきているに違いない。築地~汐留当たりの、内側にくいっと窪み込んでいるところとか、横から見たたらこ唇みたいで特に愛らしい。パックマンの亜種みたいだ。路線図にこんなに愛着がわいたのはこれが初めて。
さぁ早速何かをすくいに行こう!
海で何かすくえるか?
すくうぞ!
…いろいろすっ飛ばしすぎじゃないか?と自分でも思う。
海にポイですくえるサイズの魚がいるのか?そもそも手の届く浅瀬にいるのか?よくわからないけど伊豆までとりあえず来てしまった。海に行く予定の前の晩にポイが完成しちゃったんだもん。そりゃ持っていくだろう。
しかもこちらには勝算があるので…。
というのも、聞いてくださいよ、このポイ、
新宿から光が丘区間の、放射線部のうねりのおかげで、意図せず右利き向けのポイに仕上がったのである。普通のポイと比べて、柄をひねらせるだけで結構なスピードですくえそうな気がするのだ。(左利きの人もひっくり返して使えばいいと思うけどさ)
当方右利き、ゆえに魚に対して圧倒的有利!!!!
イメトレと素振りをめっちゃした。
いい感じだ。なかなかのスピードが出る。いざ小魚との対決…!!!!
で、しばらく探したんだけどほんとに魚は見つからなかった。そんな続けざまにうまくいくことってないのだ。でもこのまま海から帰るのもなぁ…。
あ!じゃあさ、そこらへんに落ちている小枝とかすくってみたらいいんじゃないかな!金魚ほど早くは動かないが、まぁまぁ波あるし難易度は低くないぞ。
そこらへんにある松の葉っぱを海に投げ込んですくってみることにした。
やばい!松の葉ごときをすくえない!!!!魚に挑むなんて無理だったかもしれない…。もうポイはひん死だ。
むっずかし!
やっぱり難しいのだ。金魚すくい。(今回は葉っぱ相手だけど)
そういえばわたし、金魚すくいで金魚をすくえたことが一度もない。幼少期、どの金魚を狙おうかと見定めていたら、ポイがいつの間にか水につかって1すくいもすることなく破れてしまったこともある。今でもそれが若干のトラウマになっているほど悔しかった。三つ子の魂百まで、幼少期のどんくささは一生続くのだ。わたしには動く標的は難しすぎたのかもしれない。
ちょっと悔しいから、難易度を下げてやってみたい…。
動かない金魚ならすくえるか?
100均でポイセットを買ったときに、隣にこんな商品があったのだ。
もはやわたしにプライドはない!!!
動こうが動かなかろうが金魚は金魚!すくってやる!
ということでお風呂に金魚を浮かべてリベンジだ。
湯船にゆったり漂う金魚たちを見ていると、これならいけるかも…?という自信の芽がふくふくと広がってきた。
まずはスタンダードな形の、100均で買った方のポイで。
おとなになってから金魚すくいのポイを持つのは初めてだな。幼き日のトラウマ克服なるか…!
やった~!!!すくえた!!
成功してびっくりした!そもそもポイで何かをすくったのが人生で初めてだ!!私にもできるんだ!
本日をポイ記念日といたします。
それでは主役の都営大江戸線ポイでもすくわさせていただきます!
完全に見切った。ゾーンに入ったかといえるかもしれない。今なら金魚がいくらでもすくえる…!
ただ今見返してみると、あんなに素振りとかしてた割りには普通のすくい方しかできなかったな。金魚との戦いのさなか、あまり冷静になれていなかったようだ。
何匹かすくっていたところ、大江戸線ポイのすごいところを発見した。
都庁前のあたりが狭くなっているので、破れてしまった後も金魚がすくえるのだ。
ずるじゃない、小技と呼んでくれ。
まとめ
個人的には、金魚すくいに成功したことが何よりもうれしかった。いつか、生きた金魚との戦いを制したい。もちろんこの大江戸線ポイで!
おまけ
ちなみに、ほんとに生きた金魚をすくおうと思って、大江戸線環状部の内側にある(たぶん)唯一の釣り堀・市ヶ谷フィッシュセンターまで行ってきた。市ヶ谷フィッシュセンターでは金魚を釣り竿で釣って遊べる。釣り上げられて暴れる金魚をとらえるのにはポイじゃ心もとないと思って、金魚用の網も編んだのだ。
なんとなんと、一匹釣りあげることに成功したのだけど、さあ帰ろう網ですくってやるぞと思ったらキープ用の網カゴから逃げられていた。
我ながら、漫画のオチみたいなどんくささ。金魚のほうがいつも一枚上手だ。